在留特別許可を求めて - 17家族3個人34名が東京入管前で座り込み開始
5/21/2013以前にボランティアとして通っていたAPFSが記者会見を行うと聞き、手伝いも兼ねて記者会見の会場まで足を運んできました。
APFSは首都圏に住む外国人住民に対して、相談者の滞在資格を問わずさまざまな支援を提供している市民団体です。扱う相談の幅は広く、交通事故や医療問題などさまざまな事例に対応しているのですが、APFSが設立当時より力をいれているのは非正規滞在外国人の支援活動です。事情があって在留資格なしで日本で暮らしている外国人住民たちが特別在留許可を得て日本で暮らし続けることのできるよう、さまざまな支援活動を行っています。APFSほど非正規滞在外国人支援の経験のある団体は、市民団体、弁護士事務所を含め日本には他に存在しないでしょう。
今回の記者会見は2013年3月20日より行われる、非正規滞在外国人家族、個人 計34名による東京入管前での座り込みに関連して行われたものです。
法務省の統計によると2013年1月1日の時点において、日本に在留資格を持たずに滞在する外国人は約6万2千人いるとされています。そもそもの人口も異なりますが、アメリカでは約1150万人、EU圏内では300万から500万人の非正規滞在外国人がいるといわれていることを考えると、日本での非正規滞在者の数がいかに少ないものかすぐに理解することができると思います。
現在、APFSでは17家族と3個人からなる34名の外国人住民を支援しており、彼/女ら34名の全てに在留特別許可が下りるよう当事者と共に法務省に働きかけています。支援している外国人達の出身国は多岐に渡ります。フィリピン国籍の方が多いですが、その他にもバングラデシュ、イラン、パキスタン、スリランカ、ペルー、マリ、ギニアからの出身者が参加しています。34名全員に退去強制令書が発布されており、いつ強制送還させられるか分からない状況です。
各個人、家族ごとに置かれている状況は異なりますが、大まかに4パターンにわけることができるようです。以下にパターンごとにいくつか具体例も挙げます。
1. 小学校高学年以上の子どもがいる家族
- 日本で生まれ日本で育った小学校の息子には障がいがあり、日本で治療を受けながら暮らし続けることを希望している家族
- 高校2年生の長男を日本に残して帰国するように提案されたが(提案当時は中学2年生)、家族全員で残ることを希望している家族
- 両親の出身国が異なるため、小学校6年生の娘と共に日本に住み続けることを希望する家族
- シングルマザーで高校生の息子にのみ滞在資格がある
- 同国籍の配偶者と長女には在留特別許可が既に認められているが本人には在留資格がない
- 永住資格を持つフィリピン人女性を配偶者としているが、本人には在留資格がない
- 日本国籍の配偶者との間に0歳と5歳の子どもがいるが、事情があり籍を入れることができたのが退去強制令書が発布された後になった
- 日本人の配偶者がいるうえに、本人は末期の癌を患っている
- 在日24年を超えるが、日本人の配偶者と離婚後、在留資格が認められず超過滞在となった。元配偶者との間には認知した子どももいる
在留特別許可とは在留資格を持たない外国人に対して特別に日本に在住し続けることを許可する入管法に則った制度です。それは入管法を犯した外国人を対象とした救済制度であり、一つの法律だけで犯した罪の善し悪しが判断されるべきではないことを示唆しています。また、毎年、許可のおりる外国人の数は限られており、今回許可を認めたからといって今後無制限に許可がおり続けるということはまずありません。
今日の記者会見にはいくつかのマスメディアも取材に訪れていましたが、ニュースとしてどのくらい大きく取り上げられるのでしょうか。非正規滞在外国人の数はもともとの数が非常に少ない上に、年々減少し続けているため、その現状はあまり知られていないのが現実です。しかしながら、今回の座り込みに参加しているような当事者にとっては、在留特別許可は今後の人生を掛けた非常に重要な問題であり、収容と仮放免を繰り返し、強制送還におびえながら、地域や親族からのサポートを受け、どうにかして日本に住み続けようと必死になって暮らしています。
支援、カンパなどを希望される方は是非APFSまでコンタクトをとってみてください。
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