[映画] 海と大陸

6/10/2013



イタリア半島の南、地中海の中でもチュニジアに近いシチリア海峡に位置する小さな島リノーサが舞台の映画。ふとしたことからエチオピアから海を越えて逃れてきた難民の親子をかくまうことになってしまったイタリア人家族の話。

正直、困ったなぁと思った。
自分が映画の中の家族と同じ立場に遭遇したとしたら、果たしてどのような行動にでるのであろうか。

例えば、ある日、船に乗って海にでると、壊れかけのボートにしがみついた多数の難民達を見つけてしまう。彼/女らはわれわれに助けを求めるが、彼/女ら助けることは禁止されている。また、助けたとしても警察に突き出さなければならない。警察は恐らく難民たちを逃れてきた国へと強制送還することであろう。

また、どうしても追い払うことのできなかった妊婦の難民を一日だけ自宅にかくまうことにしたが、なんとその妊婦は自宅で出産までしてしまう。その母親に北部に住む生まれたばかりの赤子の父親に会いに行きたいといわれるが、親子を手助けすることは法律で禁じられている。

舞台の街は寂れた漁村であり、島の中には観光を通して村の活気を取り戻したいと考えているものもいる。彼らにとって島に押し寄せる難民たちは島のリゾートとしてのイメージを悪くする厄介ものでもあり、自分たちの生活で手いっぱいな中、難民たちのことなんて構ってられるわけがない。何年もかけてアフリカ大陸を歩き続け、必死になってイタリアまで逃れてきた難民たちが大変なことは分かるが、自分達も自らの生活を立て直すために必死なのだ。

難民を受け入れる側の苦悩ももちろん理解できる。だが、難民側の苦労や困難を完全に無視することは人としてどうであろうか。受け入れ難民数の極端に少ない日本に住むものにとっても、決して無視することはできない問題である。非常にせつない映画であった。

海と大陸 Terra Ferma
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横浜ではシネマ・ジャック&ベティで2013年6月19日から7月5日まで上映されます。

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