東南アジアのけだるいカジノ

7/23/2018

ゴールデントライアングルに突如現れるカジノ
統合型リゾート実施法が7月20日に成立したことにより、日本国内におけるカジノ運営が合法となった。いまさらながら関連ニュースをざっとみてみると、2020年のオリンピックに向けた観光客のさらなる誘致を目指した施策の一つらしいが、果たしてそんなにうまくいくのだろうか。


私自身はギャンブルを嗜むことはなく、世界のカジノ事情に決して詳しいわけではないのだが、そんな私でも海外で何度かカジノに訪れたことがある。そのほとんどは東南アジアにあるカジノで、正直なところ、あまり健全なカジノのイメージ形成に貢献するようなものではなかった。

1つ目はラオス、ミャンマー、タイの国境が交わるゴールデントライアングルと呼ばれる地域に建設されていた、いかにも怪しい統合型リゾート。カジノの他にもいくつかのホテルやマーケットがラオス側には併設されていたのだが、明らかに中国から国境を越えて押し寄せる中国人観光客をターゲットとした施設だった。


カジノ内の顧客たちは多くがヘッドセットを頭につけて各種ゲームに臨んでいた。どうやら彼らは中国のクライアントに雇われて、電話でクライアントからの指示を受けながら、掛け金の額や次の手を決めたりしているらしかった。近接の市場には中華料理の屋台が並び、中国元を両替せずとも使うことができた。またカジノの周辺ではロールス・ロイスのような高級車がナンバープレートをつけずに走っていた。



カジノの隣のマーケット

この施設の他には何もないひどく混沌とした雰囲気の町で、一連の施設では、ラオス人に加えて、ミャンマー人やタイ人が雇われているとのことだった。中国からこのカジノまで直通国際バスも走っていたらしい。

もう一つのカジノもゴールデントライアングルと同じように少し胡散臭い地域に建設されていた。タイとミャンマーを陸路で結ぶタイ側メーソットとミャンマー側ミヤワディのミヤワディサイドに建設されていた施設で、カジノの他にもレストランや免税店があったので、こちらも統合型リゾートと言えよう。

僕たちはメーソット側から施設を訪れたのだけど、イミグレーションを通さずに、渡し船で細い川を越え、ミャンマー側のカジノに行くことが許されていた。昼間に行ったせいか、内部にはあまり客はいないようだったが、こちらのカジノへはタイ人が遊びに来るらしい。ミヤワディは少数民族の武装勢力が強い影響力をもつ地域なので、もしかしたらこのようなカジノの運営にも関わっていたのかもしれない。

3番目のカジノに関しては、カジノの中にまで入りはしなかったのだが、街中に建てられた一連のカジノ群は明らかに胡散臭い雰囲気を街中に漂わせていた。それらカジノ群を見つけたのは、カンボジアの老舗ビーチリゾートであるシアヌークビルだ。

プノンペンから訪れていた僕たちは直接ビーチまで行ってしまったので、シアヌークビルに到着後もすぐには気づかなかったのだが、街の中心部には中国人観光客を目当てにしたとてもきらびやかなカジノが何軒も建てられていた。後から知ったことなのだけれど、どうやらまったりとしたビーチが良かったシアヌークビルには、現在もさらなるカジノ施設の建設が予定されており、いずれ東南アジアのマカオとなると言われているそうだ。中国の資本がだいぶ入ってきており、中国人を対象とした一大カジノリゾートとして活性化させたいとのことなのだ。

カジノと聞いて多くの日本人が思い浮かべるのはラスベガスやマカオと行った、きらびやかな高級リゾート施設なのではないだろうか。しかしもう少し注意深く世界を眺めて見ると、思わず眉をひそめたくなるようなカジノあるいは統合型リゾートはいとも簡単に見つけられる。外国人がお金を落としてさえくれれば良いという考えは、国の政策としてはあまりにも稚拙すぎる。成熟した社会にふさわしい統合型リゾートの建設につながればいいなとは思うけれど、東南アジアのこれらのカジノを見てしまうと、そう簡単に楽観的になれそうもない。

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