ロヒンギャ問題に関する参考資料的なもの 1
12/11/20172016年の7月末より2017年の9月末まで、ラカイン州の州都であるシトウェーに滞在していました。2017年8月25日以降、大量のロヒンギャ族が隣国バングラデッシュに避難したことによって注目を集めている地域です。
ロヒンギャ及びラカインのことは、ずっとまとめて記事にしたいと思っていたのだけど、いつまで立っても一向に準備が進まない。とはいえ、ロヒンギャ及びラカイン州の状況に関連する情報は、なかなか豊富に手に入る訳ではないと思うので、参考資料として思いつくものをまずはここに上げておきます。ほとんどの資料は英語になってしまうのですが、ロヒンギャ問題の情報を集めている学生さんなどの少しでもお役にたてたら良いなと思います。
ミャンマー人口統計
ミャンマー国内に居住する人々に関する統計資料は限られているのですが、2014年に約30年ぶりにミャンマー国内で実施された国勢調査をまとめたものはこちらからダウンロードできます。ただし、ロヒンギャ族に関しては調査の対象から外されており、推定値のみの記載となっています。このことに触れた英紙ガーディアンの記事はこちら。この人口統計によるとラカイン州全体の人口は3,188,807人とされており、そのうち1,090,000人が調査がカバーしなかったムスリムの数であると推定されています。ちなみにロヒンギャの人たちはMaungdaw, Buthidaung, Rathedaungの北部3州に多く住んでおり、その中でも特にMaungdawタウンシップにおいては、人口の約95パーセントがムスリム系であるといわれています。
概略が分かりやすいニュース記事
- ロヒンギャ問題はなぜ解決が難しいのか (Synodos 2015年11月6日)
- ロヒンギャ問題、スーチー氏批判は筋違いだ (東洋経済オンライン 2017年9月19日)
また英語の記事になってしまいますが、アルジャジーラによるロヒンギャ問題の解説記事Myanmar: Who are the Rohingya?も、基礎的な事項が簡潔にまとめられて分かりやすいと思います。同様にアルジャジーラがまとめたこちらの記事(Rohingya crisis explained in maps)では、地図やデータが豊富に用いられていて、ロヒンギャの人々の世界における分布、ラカイン・チッタゴン周辺の位置関係なども把握するのにも役に立ちます。
- A Question of Race in Myanmar (Asia Times 2017年6月3日)
- Is Rohingya persecution caused by business interests rather than religion? (The Guardian 2017年1月4日)
多くの議論がラカイン州で進行中の事態を宗教対立という点にのみ焦点を当てているのに対して、社会学者のサスキアサッセンは、ロヒンギャの人々のラカイン州からの追放をミャンマー国内で増加しているミャンマー政府や軍部による土地の収奪問題といった観点から、読み解こうとしています。実際のところ、土地の収奪はミャンマー南東部のような武装勢力と和平交渉が進む地域においても大きな問題となっています。ラカイン州内ではチャオピュータウンシップにおいて中国からの支援を受けた経済特区の開発が進んでおり、どさくさに紛れて大企業に土地の権利が勝手に譲渡されたりすることが起きないように、国際コミュニティも監視を続けて行かなければならないでしょう。
ミャンマーメディア
2011年にテインセイン氏が新大統領として就任したのち、ミャンマーは少しずつであるが民主化の道を進むことになりました。もともと英語メディアも政府系のNew Light of Myanmarしか存在していませんでしたが、2014年にはメディア関連の法律の改正などが進み、現在では英語のメディアが数多く存在し、日々、ミャンマー国内のニュースを国外へも発信しています。こちらのニュースを頻繁に確認すると、以外に現地での最新の情報が入ってきたりします。ビルマ語のメディアに関してはあまり詳しくないのですが、英語メディアに関しては、政府に対して批判的な記事もごく普通に入手できます。
全てではありませんが、思い浮かんだ代表的なニュースメディアのリストです。
0 コメント